手作りボードゲームチーム たなごころブログ

手作りボードゲームチーム 「たなごころ」です。

番外編:京都大学サマーデザインスクールに参加しました。

今回はたなごころの活動ではなく番外編です。
9月25-27日に行われた京都大学サマーデザインスクールに参加しました。

募集テーマにはゲームに関連するものもありましたので、
その中の「カードゲームを作ろう」にエントリーしてみました。


京都大学サマーデザインスクールとは
京都大学の情報学研究科、工学研究科、経営管理大学院などの先生方や、
協力する一般企業の方などが講師陣となって、
様々なテーマを取り組むワークショップです。


●参加テーマ「カードゲームを作ろう」
「ゲームを体験することで、社会現象やジレンマを
学ぶことが出来る新しいゲームを創り出すことを目指す。」
という課題内容。

テーマの実施者は京都大学経営管理大学院の
松井啓之先生。
参加メンバーはたなごころのメンバー1名を含め4名。
たなごころのメンバー以外は京大の学生さんで、
それぞれ専門分野は異なります。


●様々なゲームの体験
1日目はアイスブレイキングの他己紹介のゲームから始まり、
「ゲームとはなにか?」というゲーム自体の定義的な話や、
マーク・ローズウォーターの「ゲームに必要な10のこと」
などのレクチャーがあり、
その後カードをつかった(アナログ)ゲームを
紹介して下さいました。

人狼」や「Keep Cool」「カツカレー3500円」など
いくつか紹介して下さり、実際に
・「廃棄物ゲーム」 by. 広瀬幸雄(関西大学) 
・災害対応ゲーム「クロスロード」 by.矢守克也・吉川肇子・網代
という2つのゲームを実際にプレイしました。
どちらもテーマについての学習を目的としたゲームでした。

そして今回は「廃棄物ゲーム」をもとに
新しいトランプゲームを作ることになりました。
どんなテーマでゲームを作るかを考えてくる、
ということが、1日目の宿題となりました。


●作るゲームの方針
2日目。
「廃棄物ゲーム」をもとにどんなテーマでゲームを作るか。
まずそれぞれ考えてきた事を話します。
整理すると
 ・ゲームのシステム(構造)
 ・ゲームのテーマ
2つの話が出てきました。

まずシステムでは「廃棄物ゲーム」で表現されていた、
社会的ジレンマという社会構造をもとにすることにしました。
社会的ジレンマは、個人の利益を追求すると
全体の利益が損なわれてしまうような
葛藤状態のことをいうそうです。

テーマについては、メンバーから出る意見について、
先生が実際に社会で起きている様々なケースの話を
して下さいます。
環境問題やメタボ対策、マーケットプレイスについてなどなど
現状の問題やそこにある社会構造、
それが制度の問題なのかルール(法律)の問題なのかなど、
ブレインストーミング的に出てくる意見に対して、
次々と世界を拡げて下さいました。

そして決まったテーマは「日本のものづくり」。
日本のものづくりの現場で高い品質が保たれている状況を
社会的ジレンマという視点からゲームで表現して
日本のものづくりを考えるきっかけとなるゲームを作ろう、
という方針になりました。

目指すは2点。
・日本のものづくりにある社会的ジレンマ構造を体感できる
・ゲームとして何度もやりたくなる

ここまでが2日目の午前中です。


●ゲームを作る
そして2日目の午後からは、実際にトランプを使って
ゲームのシステムを考えていきます。

基本は「廃棄物ゲーム」を踏まえて、
手札から1枚を出して、そこで1つのターンが決着していく形をとりました。
そこに全体の利益という概念として、
全員で協力してクリアすべき目標を設定するという案が出ました。

そこから試行錯誤を重ね、
出したカードによって利益や損失の差をつけることで、
全員での協力しながら、
相手を出し抜く事を狙う競争をしなければならない、
という基本構造ができました。
それが2日目の午後3時頃。

ここからはバランス調整に入ります。
手札の数と幅、場札の数と幅、利益・損失の設定など、
様々な変数を1ずつ変えて、
ゲームのバランスを検討していきます。

セミナーの会場は午後6時までだったのですが、
2日目終了後はCafe MEEPLEにお邪魔して、
ゲームのバランス調整や、発表の準備をさせて頂きました。
(店長のネイトさん、ありがとうございました。)
そこで4人用のカードゲームとして
なんとか遊べるレベルのバランスまで調整ができました。


●発表
3日目。
午後からは発表会で、それぞれのテーマの成果を発表します。
午前中は時間と戦いつつ準備をして、
迎えた発表では、制作の経過や狙いに加え、
参加者にゲームのルールを印刷、配布して、
プレイ動画をみせながらゲームの紹介をする
ということができました。

結果優秀賞は逃しましたが、
多くの方に投票をいただきました。


●どんなゲームができたか
ゲーム名は「自動車下請工場」。

プレーヤーは自動車部品の下請会社となり、
完成車メーカーからのオーダーに、みんなで協力して応えます。
完成車メーカーからのオーダーに応えることができれば利益が、
できなければ損失が出ます。
出した手札によって、利益や損失は個別に異なります。
オーダーを手堅く受けながら、
他社を出し抜き高い利益を上げた人が勝つというゲーム。

詳しくはルールをアップしていますので、
興味のあるかたはこちらをどうぞ。
(当日配ったものから、修正を入れたバージョンです。)


●参加させていただいて
当初、個人的に場違いではないかと心配していましたが、
幸運な事にメンバーに恵まれて
ほぼ1日でゲームを作りあげるという
エキサイティングな体験をさせて頂きました。

何かを教わるという形ではなく、
基本的には自分たちで考える。
それを先生が要所要所で
絶妙に導いて下さいました。

個人的には4人で何度もテストプレイをできる状況、
これは本当に夢のようでした。
明日の発表という目標に向けて
全員が集中して意見を出し合いながら
ガンガンテストプレイをしていける贅沢さ。
1日で30回近いテストプレイを行いました。

また普段は心に留まったテーマから構造を考えて
ゲームを考えてきたのですが、
既にある理論からゲーム性を考えて
テーマをのせてゲームに落とし込んでいくというのも
新しい体験でした。
いろいろとやってみたいこと、試してみたいこと、
学んでみたいことができました。

チームとしても、このゲームを今後
それぞれの分野で使っていけないかという
野望があります。
ゲームとしてもまだ、
他の方にテストプレイをしてもらう必要が
あると感じています。

京都大学サマーデザインスクールの事務局の皆様、
テーマ実施者の松井先生、
そして素敵なチームのメンバーに本当に感謝しています。
ありがとうございました。
3日間お疲れさまでした。